ホスト篇スピンオフ

□序
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恐ろしい「罰」と天秤にかけても、私の心は好奇心に傾いた。
実際、私には恐れることがなかった。何かに怯えるという感覚が解らなかったのだ。それは今に言えることでもある。

とかく、当時の私――齢五つか六つ――は部屋を出て、音のするほうへと足を進ませた。

木造平屋の我が家は、夜になると灯りというものがなかった。だから私は長廊下を行くのに、足を滑らせるようにして進んだ。


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