ホスト篇スピンオフ
□【3】
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とん、とん、とん。
背中のほうでした音を聞き届けると、私はソレの口から拘束具を外した。
「くそやろう、ころしてやる」
涙声で発せられたその声は、愛らしくさえ響いた。
私は笑顔のまま、ソレを見守る。すると唇は、一度噛みしめられた後、そっと開かれた。
「……と」
「聞こえない」
「…………ひろと、さん……」
大事なのは、内容ではない。言う事を聞かせる、という行為そのものだ。
「えらいえらい。じゃ、約束通り、楽にしてあげよう」
手にした錠で拘束具を解いてやる。
「んあッ……あああうッ……!」
一気に押し寄せてきた射精感に、ソレの体が大きくのけ反った。しかし、長時間圧迫されていたせいか、精液は少量しかでてこない。
「うあああッ……あああああッ……」
腰を突き上げ、射精しようと足掻く体へ、私は覆いかぶさった。
そして、性器の根元を掴み、ソレの耳の中へ流し込むように囁いた。
「名前、呼んでくれたら手伝ってあげる」
涙と屈辱に塗れた眼が私を睨む。けれど、その眼には、徐々に敗北の色が広がっていく。
「ああっ……ううっ……ひろ、とさっ……ひろとさんっ……」
「いい子だ」
手の中で張りつめたものを激しく上下した。するとどくどくとせり上がってくる精液を感じた。
「んぁあああああああッ‼」
ものすごい勢いで飛び出してきたものが、私の唇に飛んだ。首筋や鎖骨、胸元へと、水鉄砲を食わらせるみたいに飛び散った。
グレーのガウンに身を包んでいた私は、白に塗れてしまった。それは私に最も似合わない色だ。