ホスト篇スピンオフ

□【3】
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「んんぅっ‼ んんんッ……!」


手と、口と、足をも拘束されているソレは、自分に出来得る限りの小規模な抵抗を試みている。声を上げ、後ろ手を捩り、すこし余裕のある足元をバタつかせている。ベッドに繋いでいるのは手の拘束具だけだ。標本のように完全に自由を奪ってしまうことも可能だったが、それではつまらない。抗いながらも落ちていく過程が見たい。

一日目は非常に強力な薬を使った。だからなんの拘束具も用いずに触れることができた。二日目からはしばらくは中程度の薬にした。拘束具は必要としたが、薬が醒めた時の反応が素晴らしかった。
そして第一段階が終わり、第二段階へと移った今。私につけられた癖のせいで可哀想なほど起立したものをゆらしながら、ソレは、僅かに残った理性でこちらを睨みつけている。


「がんばるね」


私はソレの性器の根元を噛んでいる危惧を指でつついた。無機質な金属音がした。こんな小さな装置に射精を妨害されているソレが憐れで、思わず笑みが漏れた。


「言う気になったら口の外してあげる。踵で三回、ベッド蹴って合図して」


「ンンッ‼ ンウッ‼」


多分、今私は暴言を吐かれた。言葉を成していないから、意味はないが。

今日は薬は使っていない。これからは罰としてだけ用いる。大量摂取は、脳を壊しかねないから。矛盾しているようだけど、私はコレを健全なまま、堕落させたいのだ。



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