ホスト篇スピンオフ
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なにより恐ろしいのは、「罰」だ。奴に逆らったり背いたりすると、得体の知れない液体が注射される。あれを打たれると、俺が俺でなくなるような感覚がして、奴が本当に自分の飼い主のように感じられてくる。あれだけは嫌だ。どんな姿に成れ果てようと、俺は俺であることをやめたくない。そしていつか、ここから逃げ出して自由を手に入れる。だからそれまで、それまでの我慢だ。
「また我慢してるだろ?」
耳のすぐそばで、広渡の声がする。俺の鼓膜が甘く痺れ、口がだらしく開いていく。
「して……ない……」
「嘘つきは罰だよ」
「んぅ……嘘じゃ、」
俺の言葉を遮るように、性器が握りしめられた。
「ああッ!」
「私がいない間も好きに使っていいって言ったよね?」
俺は開かれた便座の前に立たされている。後ろから広渡に性器を掴まれ、放尿を強いられている。
「したくねぇっ……」
「言葉遣い」
奴の左手が俺の腕を締め上げた。それは、あれを打たれる時の動作だ。
「したくない、です」
「罰」は、「第三段階」と奴が言ってから、行われるようになった。される時の動作一つで、俺は従わざるを得ない状況に追い込まれる。