ホスト篇スピンオフ

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不気味なのは、外見だけではない。フローリングの床の上でも常に靴を履いているのだ。ベッドに上がる際は脱ぐようだが、どこか、周りを警戒している節がある。まるでいつ何時、何者に襲われるか分からない、というように。

最近分かったことは、俺が置かれているこの場所は、広渡の自宅であるということだ。拘束具をつけたままではあるが、俺は隣接したトイレと浴室の二部屋へ行くことを許された。


『私の家にはどちらも二つあるから。好きに使っていいよ』


トイレと浴室が二つある家など、狭いアパート暮らしをしていた俺には想像もつかなかった。

ベッドルームには窓はあるが、外側を鉄格子で覆われている。そこから見えるのは、空だけだ。高層マンションの上層階。それが、俺の幽閉されている場所なのだろう。



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