猫のひじかたの、十の宝物

□ひとつ
1ページ/9ページ






ぼくのさいしょの記憶。
それは、あまりいいものではない。

ぼくは、嫌な匂いのする狭い箱の中にいた。
みーみーとうるさい音がすると思ったら、それはぼくの声だった。あまりの寒さと空腹に、知らず知らずのうちに鳴いていたのだ。

ぼくは捨てられていたのだ。でもそれは後になって気づいたことで、当時のぼくは、訳も分からず寒さと空腹に震えていた。


次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ