猫のひじかたの、十の宝物

□ひとつ
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ミルクを飲み切ったぼくを、総悟は撫でた。

「えらい」と言って撫で続けた。
ぼくはとても誇らしい気持ちになった。

それ以来、総悟に撫でられると、ぼくは自分が生きていることがとても誇らしくなる。あのまま死ななくてよかったと、心から思うんだ。

ぼくをひとしきり撫で終えた総悟が、ぼくを呼んだ。


「ひじかた」


それは、ぼくにはじめての宝物ができたしゅんかんだ。いっしゅんでぼくは気に入って、思い切り、「みー」と返事をした。





《続く》
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