猫のひじかたの、十の宝物

□むっつ
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仲良くしていた猫に家族ができた。もうすぐ子どもが産まれると言う。


「お前もそろそろ身を固めろよ。いつまでも人間なんかに現を抜かしてると、痛い目見るぞ」


ぼくはむっとして、


「ぼくはお前よりもずっと前から番ってる。ぼくの番は総悟だ」


と言い返してやった。
しかし相手は「また始まった」とあきれた声で鳴くと、ぼくに背を向けどこかへ行ってしまった。

ぼくは間違ってない。ぼくと総悟を引き離す決まりなんてどこにもないのだ。

ぼくの番は総悟。誰がなんと言おうと、そうなのだ。






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