猫のひじかたの、十の宝物

□やっつ
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ぼくを抱いて眠る総悟が呟く。


「土方さん」


ぼくは気づかぬふりをして目を閉じる。
でもまた、総悟は呟く。しばらくするとまた。なんどもなんども、同じ名前を口にする。

ぼくではないその名前。持ち主を、ぼくは知っている。


「俺の大切な人」


聞いたことのない総悟の声。見たことのない横顔。


「もう目覚めないんだ」



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