ホスト篇スピンオフ

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男は名を広渡と言った。
広渡はいつも薄気味悪い笑みを口元に浮かべている。中性的な外見で、体が小さく細ければ女にも見える。実際は俺より大きな体をしている。俺の元へ来る時はガウンかスーツを纏っている。時々俺の前で電話をする。ホストクラブや風俗店などを数件経営しているようだ。

広渡の体はどこも滑らかな感触で、機械のようにひんやりしている。そして特徴的な声をしている。その声が音を発すると、俺の肌は粟立つ。まるで見えないなにかに愛撫されているような厭な、しかし逃れられない感覚が走るのだ。



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