隊
□いちゃたん
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【すきすき24時】
5:00 (一時的な起床)
目を開けたらあんたがいた。抱きあって眠ったのだから当たり前なんだけど、そんな当たり前がすごく特別で幸福だ。すき。
5:40 (一時的な起床2)
目を開けたらやっぱりあんたがいた。それでも俺は幸福で息が詰まる。目覚めて一番はじめに認識するのがあんただと、俺は何度寝て起きてもそうなるらしい。すき。
8:00 (目覚ましによる強制的な起床)
目を開けたら以下略。幸福以下略。
「あと五分」と甘えた声ですり寄れば、あんたは俺をとがめられない。すき。
9:40 (あんたの絶叫による起床)
俺につられて二度寝したらしいあんたは、慌てすぎてまたベストを前後ろ逆に着てる。すき。
9:44 (身支度)
急いで支度してる時でも、俺のスカーフは丁寧に結んでくれる。すき。
10:00 (朝礼)
居眠りした俺を叱責する声が途中でとまる。あんたの視線は俺の首筋にあって、そこに、スカーフで隠しきれていなかった印を見つけたらしい。淡く染まった頬。すき。昨晩、座位でした時のあんたを思う。すき。
11:00 (見廻り出発)
空を仰いで「いい天気だ」と呟く横顔。すき。
12:00 (昼食)
俺の食べたい甘味を俺が口にする前に言い当ててくる。なんでわかったの? って聞いた時の得意げな顔。すき。
12:40 (見回り再開)
ふざけて腕を組んでみたら、すんなり受けとめられた。すこしして、思い出したみたいに「離れろ」と騒ぎ出した。すき。
13:00 (見回り中)
ふざけて手を繋いでみたら、すんなり握り返してきた。すこしして、思い出したみたいに振り解かれた。すき。
14:00 (見回り中)
石垣の上にいる猫と見つめ合ってる。マヨをとりだして、「食うか?」って聞いて、逃げられてる。すき。
15:00 (休憩)
「一服」と煙草を吹かしだした。俺も、煙を吐き出す口めがけて、「一服」と自分の唇を突き出した。ちゅっと重なった感触。すき。でも、危ねぇと怒られた。
16:00 (帰路)
落ち出した日を見上げていたら、あんたがこちらを見ていた。「何」って聞いたら「別に」って返された。たぶん俺をうれしくさせるようなこと考えてた。すき。
17:00 (屯所到着)
夕食のことを考えていると、あんたがまた「一服」と言う。今日は肉が食いてぇなと夕飯に思考を戻した俺をあんたが抱き寄せる。目尻にキスされる。鼻先にも、唇にも。「お前の真似」ってにやける顔。すき。すき。
17:01 (副長室待機)
キスが深まる。唇のやわらかさ、舌先のいやらしさ、吐息のあつさを感じる度、全身が疼く。すき。すき。すき。
17:03 (副長室待機)
身を乗り出した俺はあんたに制される。「一服終わり」って言う口に舌をねじ込む。でもあんたを困らせたくはないから、途中でやめる。そんな俺の頭をあんたは撫でる。すき。悔しい。
17:05 (書類書き)
机に向かう背中を俺は見つめる。すき。念じてたら、「後で」と返された。「後で」を思う。すき。
19:00 (夕飯)
向かい合うテーブルの下、ずっと足をつつきあう。すき。焼肉定食もすき。
20:00 (「後で」を実行。ここから3時間 R18 。)
23:00 (入浴)
ぬるい湯の中であんたにすり寄って甘える。「かわ」と何か言いかけた口元を湯に沈ませてブクブクする。そんなあんたに俺はさらに甘える。すき。すき。首筋に頬をこすりつけてぎゅーっとしがみつく。俺を抱きかかえたあんたがゆっくり揺れる。俺は自分があんたにあやされる赤ん坊なんだと感じる。すき。このまま、と思う。
23:40 (寝支度)
髪をタオルで拭き合って、ドライヤーをかけ合う。歯磨きして、乱暴に着た寝間着をあんたに直されて、布団に入る。
当然のごとく俺の首下に与えられるあんたの右腕。かたい。すき。俺の安眠枕。
23:45 (就寝)
ちょっとかすめるだけのキスを繰り返しながら夢へとおちていく。すき。ねむたい。すき。
23:50 (夢の中)
俺は、遠く離れた場所にいるあんたに会いに行く旅をしている。一歩踏みしめる度、会いたいが強くなる。すき。会えたら一番さいしょに言うんだ。
23:58 (一時的な起床)
目を開けたらあんたがいた。やっと会えた。だから俺は大きな声で言う。すき!!! その声で目を覚ましたあんたが俺を抱き寄せる。この耳に唇を押し当てて、「俺もだいすき」と言う。
すき。すき。ほんとにもう、心がこわれるくらいすき。
End(2019.1.20)