猫のひじかたの、十の宝物

□ひとつ
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ぼくの前をたくさんの気配が通り過ぎて行った。
時々ぼくの前で立ち止まる気配もあって、それはたいてい子どもの気配だった。でも、もう一つの大きな気配によって、すぐにぼくから引き離された。

ぼくはひとりぼっちだった。でも、さびしくはなかった。ひとりぼっち以外、知らなかったから。


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