旅狐の物語
□序章
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月が真上に浮かんでいる頃。
月の光を受けながら少女が一人、山中を走っていた。
ガサッガサッ
彼女の後ろから乱暴に草を掻き分ける音がする。
どうやら、追われているらしい。
「………っ、しつこい奴らじゃのう」
目の前の草を掻き分け踏み出す。
―――しかし
「――――え……?」
道が続くと思っていた場所は断崖絶壁。
彼女はそのまま飛び出し、落ちてしまった。
落ちていく先には闇が広がっている。
少女は、その闇に呑まれていった―――
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