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□未知
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「ねぇねぇ!月佳くんって格好いいよねぇ〜!」
「ホントだよね、転校生っていうから期待してたけど予想を超えるような感じ」
「寮住まいなんだよね」
「あーあ、私も寮にすればよかったかなあ」





少し離れたところで女子が話している。
おいおい、ボリュームどうなってんだ…あのお2人さんは。

蒼太は確かに人気だが…
その、格好いいっていうか…
胸のなかにわだかまりが一つ。



「順平」
「んあ?あ、蒼太」

振り返ると噂の蒼太が居た。
転校生で同じクラスで隣の席。
しまいには同じ寮住まい。


「今日一緒に帰れるか?今日は部活が無いんだ」
「もっちろん!久々だな〜」
「じゃあ約束な」

久しぶりの誘いに頬が緩む。
せっかくなのでワックへの寄り道を提案してみたり…
順平くん、気合い入れるよ?


「蒼太…」
「つーきかッ」

「友近…?」
「あのさ今日放課後空いてないか?旨いラーメン屋見つけたんだよね」


とーもーちーかー…!!


横槍を入れてきたのは友近だった。
くそ、俺の放課後企画がああぁあ…
ワックやらに寄り道しながら帰る2人きりの放課後、とか………ってなんで2人きりにこだわってんだよ俺!
別に友近と3人でも……
うーん…でもなぁ。。


「……」

一人考え込んでいると、蒼太と目が合った。
するとすぐに目をそらし、少し考えるように腕を組み、友近に向き直る。



「悪い、友近。今日はちょっと用事があるんだ。外せない用事」
「なーんだ、そっかぁ〜。残念。月佳と行きたかった……まぁ、また今度行こうな!」
「また誘って」

去る友近に手を振り、こちらに向き直った蒼太。
その表情は、笑顔だった。




「あのさ…なんでさっきの断ったんだ?」
「なにが?」
「なにがって…;」

放課後、2人で道を歩きながら話す。想像してたよりもトロトロ歩いているのは俺のせいか。

…いや、友近のせいだ。


「友近のことか」
「そーそ。べっつに3人でもよかったんじゃねーの?一緒に帰んの」


そう冗談めかせて言う。

「…っはは」笑い声にびっくりして振り返ると笑っている蒼太。

てか、笑ってるっていうか笑い声を上げて笑う蒼太を初めて見た気がする。これは気のせいではないだろう。
蒼太はどちらかというとクスクス笑うお姫様タイプ(?)だ。


「な、なんかおかしかったか?;」
「いや…その。俺が友近に誘われてたときの順平を思い出して」
「ぇえ、そんな変だった?!」
「百面相してた」

思い返すとあのときはいろんなことを考えていた気がする。
もしやあれで…;


「だから、順平は友近も一緒なことが嫌なんじゃないかって…」


びっくりした。
ホントは嫌だったから。
2人きりがいいとか、友近には悪いけど思ってた。
なんか知らねぇけど…
とにかく3人てのが嫌だった。


「…なーんてね」
「え?;」

「本当は、さ。俺が2人きりがよかったんだよね、順平と」



急にそんなことを言い出すものだから立ち止まって叫んでしまいそうになった。
だが、すんでのとこで叫ぶのを耐えた。だってそれ変なヤツだろ?蒼太にそんなカッコ悪いとこばっか見せるわけにはいかない。


「なんか…ごめんな?久しぶりだったから、さ。つい…」


ちょっと困ったように、照れたように、そう微笑む蒼太。

ああ、いまやっとわかったよ。
なんで蒼太が格好いいって言われてちょっと違うとか思ってた理由が。
俺から見た蒼太は『格好いい』じゃないんだ。『可愛い』なんだ。
それも女の子相手に感じるような
もの。
一旦わかってしまうと、結論まで到達するのは早かった。



俺は、蒼太が好きなのか…?



…でも、どんなに可愛いって言ったって相手は男だ。
それはなにしたって変わらないことだろう。
現に学校でも女子に格好いいとか言われて騒がれている。周りから見たら、そんなヤツなんだ。



「順平?」
「あ、わりぃ…なに?」
「また百面相してたから」
「ぇえぇっ?!;ちょ、あんま俺のこと見ないでッ」
「ははっ」



微笑む君を見たら、どうでもよくなった。
壁とか、問題とか。
あんまり気にならない。
それはたぶん周りより君と一緒に居るから、周りの知らない君を知ってるから。
ちょっと優越感があるからかな?


だから、、



きっと俺は君のことを…











end


順平の恋に気付く話。
絡み無いけど、
一応は順主です!



 

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