〜哀しき神童の願いごと〜
□旅の途中で・・
3ページ/12ページ
片膝をついて、忠誠を誓う二人。
主とされる女は、そんな二人を見て何かを意味するようにクスリッと笑った。
「あなたたちのコンビで必ず、連れて来てね。頼んだわよ。穢恋、黒幽」
「「おおせのままに」」
一度深く頭を下げると、二人は部屋から退場する。
女だけが残ったその部屋で、ろうそくが今にも消えそうに揺らめく。
「あの子供≠ェ来たら、喰う前に何をさせてやろうか…?あははっ」
短く笑ったのと同時に、部屋を明るく照らしていた光が消えた。
「私には絶対に逆らえない…」
クスクス…
再び響く笑い声は、光を失い闇に染まった中に残像もなく溶け込んでいった。
◆
「んっ……」
眩しい光が、強制的に覚醒をさせる。一度起きることを拒み、寝返りをうつ良守だったが、その願望はあっけなく消えさった。
「起っきろ〜♪良守!」
―ドスッ!
「げほっ!!がは…がは!」
昨夜と同じ手で腹部に飛び乗られ、良守は勢いよく飛び起きる。
「烏森っ!!」
喧嘩を売らない程度に、軽く睨み、飛び乗られた腹部をさする。
昨日までの記憶が走馬灯のように頭に流れた後、あれからどうなったか気になり、辺りを見渡した。