〜哀しき神童の願いごと〜
□宣戦布告
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ずっとずっと思い続け、ようやっと手に入れた満足感。
しかし、それは儚く消えてゆき、今手元にあるのは求めていたのとは違うもの…。
欲しい…!光のようなあの輝きが…!
あの光に今までどれほど救われてきただろう…?
変わり果てた様子を見て、私は絶望を味わい、ようやく気がついた。
私は大きな過ちを犯してしまったようだ…。
無垢な光を汚してしまった…。
私の強烈な欲望がこびりついたそれは、すっかりと黒ずんでしまった…。
あぁ、なんと愚かなことをしてしまったのか…!
なんとしても光を取り戻さなければ…!
私の…いや、皆の太陽を輝かせてやらなければ…!
◆
「はぁ…静かな夜ね…」
主を失った烏森は虫の鳴き声すらしない。ただ満月が邪を切り全てを無に返したような静寂…。
今までいた烏森とは違う、別世界に来たような感覚がどうしても離れない。
(良守も、この月を見てるのかな…?)
月は過去も未来も全て知っていると言う…。
そんな説を思い出し、今月に願うのは…あの子のことばかり…。
(これから良守はどうなってゆくんですか…?)
満月は答えず、ただ明るく照らして誤魔化すばかり…。