〜哀しき神童の願いごと〜

□宣戦布告
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そう感じた時音は不意に、泣きそうになってしまった。

「時音ちゃん…」

「正守さん…!」

みじかな存在に気づき、時音はすぐに目の端の涙を拭う。
正守も、そんな時音を気遣い、わざと知らないふりをして話を進めた。

「あの城、呪具で封じてあるからよっぽど力の強い術者じゃないと地上に出せないらしい…」

「そう…ですか…」

抜け殻≠ノなってしまったこの土地に、存在理由はあるのか…?ついついそう思ってしまう…。
前々からこんな予感はしていた…。どんどん不機嫌になる烏森…。おかしくなっていく良守…。
いつか大変なことが起こるとわかっていたのに…。

(また、止められなかった…)

アンニュイに浸っていると、校門辺りからざわめきが聞こえた。
とっ…、

「ぎゃああぁぁぁっ!!?」

悲鳴と同時に聞こえた水音…。しばらくしてまた違う悲鳴が上がり、静かだった雰囲気が一変した。

「なんだ…!?」

嫌な予感が浮かび、正守と時音は校門に向かおうと足を早めようとする…。

とたん、一時的身体が動かなくなってしまった。
その理由は…

「真っ赤だな♪真っ赤だな♪」

烏森に響き渡る歌声。
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