〜哀しき神童の願いごと〜

□宣戦布告
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―ざわっ…

突然、聞こえた歌声に騒がしくなる部下たち。普段からの教えからか、パニックになることは決してないが…。

「つた〜の葉っぱが真っ赤だな♪」

ビチャッ…

足音の代わりに聞こえるのは、重たげな水音。近づいて来る異質な気配。
やがて、校門から現れたシルエットを満月の光がその姿を晒す。

三つ網を舞わせる若い女性…。

それは穢恋だった…。
猫のような不気味な笑みを浮かべ、身体中を酸っぱいような鉄の匂いを纏わせる。

―ドチャッ…ベチャッ…

腕を下げる仕草をすると、地面にスライムのような影が滑り落ちる。

何かと目を凝らし、その正体がわかったとたん悲鳴を上げた…。

「ひっ…!?」

恐怖とショックに身体がカタカタと震えてくる。
皆の目の前にあるのは、肉片…。
それだけでは恐怖が募るだけで、特に何も思わないが、問題は肉片に着いている布だ。

「…って、めぇ…!」

部下の瞳が怒りの声を上げた。瞳孔が開ききり、完璧に理性を失っている…。

肉片が纏う布には、夜行の紋が刻まれている。ついさっきまで、生きていた仲間はこんな無惨な姿にされてしまった。

「許さねぇ…!」
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