〜哀しき神童の願いごと〜

□神の愛し子
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好き、大好きだよ・・。
絶対に離しはしない・・!
逃げよう等と思うな。どこにいようとお前は私の鎖に繋がれている。

どんなにもがいても聞いてやらない。逃さない・・!

可愛い、可愛い私の良守・・。



時音が屋上で、良守を見つけた時、良守の視線は夜空に浮かぶ月に向けられていた。感情が抜け落ちた人形のような顔で、瞬きもせず月を眺めるその姿は見ていてゾッした。

「良守・・何してんの?」

そんな感情を無理矢理押し込み、いつもの笑顔、いつもの声で明るく話しかける。
良守は人形のような無表情のまま、時音に視線を移した。そして、ゆっくりと口を開いて言葉を発する。

「あぁ・・、時音。来てたんだ・・」

「今来たばっかりだけどね。斑尾は?」

「見回り行ってる・・」

必要最小限のことだけ伝えると、再び視線を月へと戻してしまった。時音はそんな様子の良守に不安が募る。
ここ最近良守はこんな感じだ。何かと言えばすぐに人形のような無表情な顔で空を眺めている。普段もどこかそっけない。
最初はすぐに戻るだろうと思ったが、そうも行かずずっと人形みたいな顔をしてる良守を見ている内に段々と心配になってきた。
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