〜哀しき神童の願いごと〜
□漆黒の城
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「「「良守が消えたっ!?」」」
目を見開き、今聞いた言葉をそのまま大きく繰り返す。
「はい。急に烏森が騒ぎ出して・・それで駆け付けた時にはどこにも居なくて・・」
時音が眉を下げて、申し訳なさそうに頭を下げた。
修史が、慌てて時音に頭を上げさせるが、時音の顔はうかないままだった。
「何か手がかりはないのか・・?」
「いえ、気配も何もかも特に以上がなく、唯一烏森が騒いだと言うだけで何も手がかりは・・」
はぁっ・・
正守はため息をついて握った拳を強く握る。
守ると決意した、直ぐだったから尚更だ。良守を守れなかった後悔で正守は悔しくていかたがない。
「情報は探しています。きっと何かあるはずです!」
正守は自分をしっかりさせるために、強気な言魂を口にする。こうするだけで、なんだか気持ちが軽くなる気がした。
そんな正守を察したのか、同じく時音たちも共に心身共に楽になる。
(待ってなさい、良守!必ず取り戻してあげるから!!)
心の内に秘めた密かな決意に、時音は強く美しい瞳を正守たちに向けた。
◆
ギシッ、ギシッ、ギシッ・・
床が軋むような音に目が覚醒した。