〜哀しき神童の願いごと〜

□宣戦布告
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ふっ、と空へと目を向ければ、悲しいほどに美しい満月…。

古来から、月は未来や過去…。この世の記憶を全て知っているらしい…。

全てと差し出してもいいから…

どうか教えてくれ…





これから俺の未来はどうなってゆくんだ…?



ジー…、ジー…、ジー……

夏の虫が鳴き始め、もうすぐ初夏と言うことを知らせる…。
なんの音もしない闇のような冬の夜とは違う…。生き物たちが必死に生きようとしている夏の夜…。
湖の水面に金箔の城と共に美しい満月が姿を写る。

「これが金閣寺か…」

「久しぶりだな…」

月に照らされ、一層輝きを増している城…。烏森は興味津々で眺める。
どう言う訳だか、気がついた時辺りはすっかり夜になっていた。見覚えのある風景に辺りを見渡せば、修学旅行で来た金閣寺が目の前に立っていたのだ…。

つまり、奈良まで飛ばされたらしい…。

「お前な、どんだけ遠くに来てんだよ…?」

「いいじゃないか…。どうせだからいろんな所を旅して行こう。
そうだな、次はかずら橋でも行ってみるか…」

「Σ徳島かよっ!?」

ツッコミを入れる良守に、烏森はクスクスと笑った。
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