〜哀しき神童の願いごと〜
□蝕む声
1ページ/14ページ
◆
身体が熱い…。
頭が重い…。
力が上手く入らなくて
心も身体も麻痺したみたい…。
辺りは何も見えなくて
ただひたすら闇が広がっている…。
このまま、闇に捕われたままでいたら…
どうなっちゃうんだろーな。俺…。
◆
「………」
まず見えたのは薄暗い天井。見慣れたデジャブにもはや良守は特に何も思わない。
ただ、自分の犯された状況が理解出来ず、頭にひたすらクエスチョンマークが浮かんだ。
(どこだここ?)
寝ぼけているせいか、意識を失う前の記憶が曖昧だ。重い頭を腕で支えながら、良守は心を静めるために、一つため息をついた。
ひとまず、今目に見える状況を整理してみることに。
良守にしては冷静な判断だ。
(えーと、俺は墨村良守。もうすぐ15歳になる14歳で結界師っと…)
うん、ここまではイケる。
どうやら記憶喪失の疑いはないようだ。
と無駄な納得をしたところで、重要になる辺りの状況を見渡す。
今、自分が着ているものはいつもの黒装束ではなく、淡い桃色の着物。
(絶対、あの女(穢恋)の趣味だ…)
と、ここら辺で過去の記憶が鮮明になってくる。
共に沸き上がる怒り。