〜哀しき神童の願いごと〜
□追憶
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【三年前】
気がついた時、頭に凄い衝撃と痛みが走った。
ドガッ…!
「ッ…!」
ぽたっ…ぽたた……
地面に落ちる赤い染みに、初めて血だとわかった。
後ろでは、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべた同年代の子供が数人いた。
「化物が町を出歩いてんじゃねーよ!」
「俺たちが罰を与えてやる!」
ガンッ、ドガッ!
「痛ッ…!や、やめてよ!!」
容赦なく手のひらサイズの石が、背中やら頭に打ち付けられる。
地面に染みが増えていくのを見て、唯は泣きたくなった。
「こらっ!お前ら、唯に何してんだ!?」
「わぁっ//ゆっ、ゆう君っ!?」
聞きなれた名前に、唯はゆっくりと顔を上げる。そこには見慣れた強い瞳があった。
「お…兄ちゃん…!」
「大丈夫か、唯?」
暖かい手が優しく体を包みこんでくれた時、今まで我慢してきた涙が溢れだした。
「ひっ…、い…うわぁぁん!お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
ぎゅっ、と服を強く握れば、ゆうは唯の背中を撫でてくれた。
「お前ら、俺の妹に何やってんだ…」
殺気立った目で、そいつらを睨むと、一人の女の子が悔しそうに下を向いてるのがわかった。