結界の巻物★そのニ
□俺と氷浦の勉強日記
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ピクッ…、ピクピク…。
兄貴の額が小刻みに揺れる。俺の成績表を見た後、なんとも素敵な笑顔が俺へと向けられていた…。
「良守ー。お前は一体学校で何をしているのかな…?」
おかしな口調と目が笑っていない笑顔に、俺は蛇に睨まれたカエルのように小さくなった。
「あ〜…、えっと…いやぁ〜。だって…眠いし…」
烏森で仕事をした後、学校で真面目に授業を受けるなんて、身体に負担がかかりすぎる。そんな芸当、俺に出来るはずもなく、これぐらいは許されるだろうとサボりまくってきた俺だが…。
「せめて、ノートは取れよ…。お前このままだと確実に留年だぞ…?
今日、先生に何て言われたか覚えてるか…?」
「『次のテストで全教科80点以上取らないと、高等部には上がれない…』」
おずおずと、今日三者面談で言われた言葉をリピートする。
これだけでも落ち込んでんのに、兄貴は俺が最も聞きたくない言葉を言って来た。
「お前…、時音ちゃんに本当に置いてかれるよ…?」
「うわあぁぁっ!それを言うなー!!」
自業自得なのはわかってるけど、まさかこんなことになるとは思わなかった…。
それは今日の昼過ぎのこと…。