結界の巻物★そのニ

□俺と氷浦の勉強日記
1ページ/2ページ

ピクッ…、ピクピク…。

兄貴の額が小刻みに揺れる。俺の成績表を見た後、なんとも素敵な笑顔が俺へと向けられていた…。

「良守ー。お前は一体学校で何をしているのかな…?」

おかしな口調と目が笑っていない笑顔に、俺は蛇に睨まれたカエルのように小さくなった。

「あ〜…、えっと…いやぁ〜。だって…眠いし…」

烏森で仕事をした後、学校で真面目に授業を受けるなんて、身体に負担がかかりすぎる。そんな芸当、俺に出来るはずもなく、これぐらいは許されるだろうとサボりまくってきた俺だが…。

「せめて、ノートは取れよ…。お前このままだと確実に留年だぞ…?
今日、先生に何て言われたか覚えてるか…?」

「『次のテストで全教科80点以上取らないと、高等部には上がれない…』」

おずおずと、今日三者面談で言われた言葉をリピートする。
これだけでも落ち込んでんのに、兄貴は俺が最も聞きたくない言葉を言って来た。

「お前…、時音ちゃんに本当に置いてかれるよ…?」

「うわあぁぁっ!それを言うなー!!」

自業自得なのはわかってるけど、まさかこんなことになるとは思わなかった…。

それは今日の昼過ぎのこと…。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ