結界の巻物
□蒼き瞳に大切な人
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命令を守るのがいいことで、命令を守らないのが悪い事
任務なんか・・・少しぐらい忘れたって構いやしないのよ
誰かの命令とか、俺の言う事とか、本当は全部聞かなくてもいいんだぜ
どれが本物かわからない・・・。
どれが正しいのかわからない・・。
どうしたいのか自分で考えて自分で決めるんだ
あいつは前に俺にそう教えてくれた・・・。
俺に選ぶ事など出来るのだろうか・・・。
氷浦のその言葉に、俺の思考は一瞬停止した。
「どうして・・人を殺してはいけないんだ?」
悪意のない言葉で話しかけて来る氷浦に、良守の胸は締め付けられて泣きそうになる。
「墨・・村?」
氷浦は何かを感じたのか心配そうに(顔は相変わらず無表情だが)覗き込む。
「・・ごめんな」
「?」
良守は手に持っていた作りたてのチョコレートケーキを机の上に置いた。
氷浦はその様子に疑問を持ちながらも良守の正面側となる場所に座った。
良守はケーキを切り分けながらぽつぽつと話す。
「氷浦は・・大切な人はいるか・・?」
「大切な・・人?」