結界の巻物

□神の望みと定めの右腕
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俺は一生この右腕を恨む。
アイツではなく、俺に出てしまった方印と言う正統継承者の印を持つこの右腕を・・・。

俺がこんなモノを持ってしまったせいで、アイツは・・兄貴は家から出て行ってしまった・・・。

俺じゃなくて・・・兄貴が正統継承者なら、こんな溝も、できなかったかもしれないのに・・・。


この望み≠叶えてくれるのは・・・・誰?



「何帰って来てんだよ・・」

「別にいいだろ?ここ俺の家でもあるんだし」

俺は目の前の人物。兄貴の顔を見るとふてくされたまま正面に座る。
また、お土産だろう。机の上に幾つか豆大福がある。
俺は一つ口に運んで、早く食べ終わって説教が始まらない内に部屋に直行するつもりだった。

「・・・・・」

「・・・・・」

無言が続く。
これはこれでかなり居心地が悪い・・・。
いつも説教じゃなくても何か言ってくる兄貴もなぜか今日は黙っている。

「ごちそうさま」

長い沈黙の中でやっと俺の声が部屋に響いた。
説教が始まらない事に内心ガッツポーズを取りながらも、兄貴の様子がおかしいのに気づく。
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