そなたの巻物
□傷心の言魂に舞い落ちる雫
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一瞬、大きく長い手が大きく振りかざされ、良守の後ろで大きな音と悲鳴が聞こえた。
「ぐわぁっ!?」
ビシャッ・・!
後ろを振り向いた瞬間、良守の身体に赤い液体が飛び散り、地に落ちていく少年の姿が見えた。
ドチャッ!
右肩から左腹部にかけて切り裂かれた箇所から止めどなく溢れていく赤い液体が辺りを同じ色に染めていく。
「かっ・・げみや・・?」
頬についた閃の血がゆっくりと下に線を描いた。
『クスクス・・。妖混じりと言えどもただのクズですね・・』
冷ややかな、バカにしたような目で閃を見る。
「閃君!?閃君!!」
時音が呼びかけると、うっすらと苦しげに目を開く。
そんな様子を良守は呆然と見つめ、動かないでいた。それを見てチャンスと思った妖は、良守に向かって大きな手を振りかざす。
「良守!?」
それに気付いた時音が名前を呼ぶが、良守は呆然としたまま動かない。
「いやぁ!?良守逃げてっ!」
再び悲劇を繰り返さないために時音は必死で叫ぶ。
妖の爪が良守の腹部に当たろうとした時だった。