そなたの巻物
□傷ついた姫君に暖かな包容を・・
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「時音〜〜!!」
「うるさいわね。そんなに大声出さなくても聞こえるわよ」
門の前で叫ぶ良守に呆れながらも、心は暖かなもので満ちる。
良守は門から猛ダッシュで走り、時音に抱きついてきた。
「ちょっと、良守!」
「時音〜!やっと会えた〜!!」
「毎日会ってるでしょうが!!」
自分を抱きしめてくる良守は嬉しそうに時音に頬ずりしてくる。
時音はくすぐったいと思いながら止めなかった。
「俺はずっとお前に会いたくてたまらなかったんだぞ!?」
ぎゅうっと背中に回した手に力がこもる。
「時音は俺と会いたくなかったのか・・?」
急に泣きそうな声になり、時音は笑いそうになる。
「ふふっ、そんなわけないでしょう?ずっと会いたかったわよ」
今度は時音が手に力をこめて、良守を優しく抱きしめた。二人は、互いに愛し合い、半年前から家族に内緒でつき合っていた。(斑尾と白尾にはバレバレだったが)高校生になり、いつの間にか良守を好きになった時音から告白したのだ。
「時音・・・、大好き・・」
「ふふっ、あたしも・・んぅ・・」
良守の唇が時音の唇に重なった。