そなたの巻物
□優しい口付けは永遠の証
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「う…だっ、誰か……!」
高等部に入って数日たった頃、学校から出るとそんな声が聞こえた。
声の出先を見つけようと頭を回すと、ガラの悪い奴らに囲まれた田端たちがいた。
「いいから、金だせよ。高等部の生徒なら持ってんだろ?」
「いっ、嫌です!」
目をよく凝らして見れば、他に神田と市ヶ谷がいる。
神田が身体を震わせながら、涙目で言えば、盛大な笑い声が響いた。
「ぶははははっ!!何?俺らが怖いの?」
「可愛いじゃねぇか。俺たちと一緒に遊ぼうぜ」
「やっ、止めてください!!」
細い腕を掴まれて、神田は青ざめる。田端たちが助けようとしたが、全く歯が立たない。
その時…
「やめろよ、あんたたち」
物凄い力で、腕を掴まれたと思うと、聞き馴れた声が三人の耳に入った。
「「「墨村(君)!?」」」
いつも寝ている時とは違う雰囲気に田端と市ヶ谷は不思議に思う。
「うっせぇ。口出しすんじゃねーよ!ガキはガキらしく家で宿題してな!」
(いつの時代の言葉だよ…)
「年下相手にくだらない。お前らこそさっさとどっか行け」
「んだとぉ!?」
良守の言葉にカチンときた男は良守を殴ろうとする。