そなたの巻物

□宴の夜に…
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※未来造定。
良守20歳、時音20歳。


「……?」

何枚も重ばる手紙の中に、ふと時音の視線を引いたものがあった。

「夜行…?正守さんから…?」

50円葉書に筆で書かれた丁寧な文字。
裏返して、内容を確認する。

【時音ちゃんへ。

久しぶり。元気にやってるかな?
夜行も今年で設立10年になるんだ。
良守や閃も20歳になる記念も込めて、近日パーティーを開くから、よかったら時音ちゃんも、おばあさんたちを誘って来てね。】

詳細に目を寄せれば、丁度一週間後になる。
時音は口元に葉書を寄せて、しばらく考える仕草を見せた。すぐに椅子から立ち上がると、祖母である時子の部屋へ向かった。



烏森が封印され、墨村と雪村の確執が無くなり、早5年。
相変わらず、繁守と時子の喧嘩は続いているが、もはや両家の生活の一部に溶け込んでいる。
お互いの出入りも許され、今では仲良しのお隣さんとなっていた。

「あのちびだった良守がもう二十歳ねぇ…」

「お前は俺の母親か…?そして、ちびは余計だ!」

時音の発言にツッコミをいれるのは、本日の主役でもあり墨村さん家の次男坊である良守くん。
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