〜哀しき神童の願いごと〜
□深緑の少女と少年の消失
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「最近、裏会とはまた別の異能者たちの組織が出来てるんだって」
「それが蒼幽狐か?」
乗り出す正守に唯はこくんと首を縦に降る。
「蒼幽狐が狙うのは莫大な力≠ニ珍しいモノ=B
それを手に入れるなら人殺しでもなんでもやっちゃうらしいよ?」
「規模は・・?」
「ざっと百人くらいかな?
と言っても、主直接の部下である数名以外は雑魚ばっかりだけど」
目の前にある煎餅をかじり、お茶をすする。唯の口の中に渋い香りが広がった。
「なぜそんなに知っている・・?」
いきなり現れ、こんなにも詳しく情報を与えてくる唯を正守は不審に思う。
「さぁ?なんでだろうね。
ただ・・」
煎餅の欠片を口に放りこんで、飲み込む。かすかに可愛らしく喉が揺れた。
「ボクは蒼幽狐を滅茶苦茶にぶっつぶしたいんだ。
だからさ、正守さん。ボクが協力してあげる。
蒼幽狐の次のターゲットは烏森だと思うよ?」
「お前は・・一体・・?」
正守の問いに、唯は不適な笑みを浮かべるだけで何も答えなかった。
「ご覧の通りただの人間≠セよ」
少し冷えたお茶を飲み干して、唯は座布団から立ち上がる。