〜哀しき神童の願いごと〜

□追憶
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「だっ…だって…変じゃない…」

しおらしい声で途切れ途切れに呟く。
先ほどとはうって変わって急変した態度に、唯は呆気に取られていた。

「緑色の髪なんて気持ち悪いじゃない。
ゆう君もそう思うでしょう?」

「そんなこと思うわけないだろッ!?」

即座に帰って来た否定の言葉に、彼女は息を詰まらせた。
唯は溢れる涙を拭いながら、その様子をじっと眺めている。

「髪の色が違うからって差別かよ…?お前らガキみたいなことしてんじゃねーよ」

強い怒りを表すゆうに、女の子はとうとう泣き出した。それを見ても動じないゆうに、唯はさすがだな…と思った。

(お兄ちゃんは…やっぱり強い。すごいなぁ…)

憧れを抱きながら、頬を染める。小さい頃から髪のことで差別されて来た唯にとって、いつでも助けてくれるゆうは唯一心を許すことの出来る人物だった。
同じ妖混じりであるにも関わらず、唯の髪だけが緑色に染まっていた。
これのせいで、どれだけ絶望を味わってきただろう…?

「お前らもう唯をいじめんなッ!!」

「ちっ、優等生ぶりやがって!おい、桜乃(さくの)行くぞ!」

桜乃と呼ばれた彼女は、未だに泣いていた。
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