結界の巻物★そのニ
□警告の鐘
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ぺちんっ…
「……?」
軽い音を立てて良守の額に時守の手が重なる。
林檎のように真っ赤な頬から汗が流れ落ちる。時守を見る、その目は心なしか虚ろだった。
「し…しょ…う…?」
肩で息を繰り返しながら、か細い声で、名前を呼ぶ。
様子がおかしいと気付いた時音たちがぞろぞろと集まってきた。
「……熱中症…だね」
呆れたような表情で、良守の額をぺちっと軽く叩く。
「ちょっ…!あんた、大丈夫なの!?」
熱中症は場合によっては死に至る時もある。それほどやわな身体ではないとわかっているが、心配せずにはいられない。
「だ…い…じょ……」
ふらっ…
言葉と行動が矛盾する。
傾いた身体が、ゆっくりと時音に預けられた。
「良守ッ!?」
その熱い身体に驚き、意識を失った良守を急いで正守が背負った。
そんな中、時守だけが静かにその光景を眺めている。
「時守さん!屋敷へ案内してください!」
「わかった。ついておいで」
くるっと背中を向けて、獣道を誘導していく。
正守に担がれ、良守は荒い息を繰り返していた。