結界の巻物★そのニ
□天空と狂気の5題
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昔、俺は鳥だった。
他の鳥たちと違って、足枷はあったけど、あの頃の俺は真っ青な海みたいな空を自由に飛び回っていた。
触れるはずのない雲に飛び込んでみたり、他の鳥たちと戯れて遊んだり…。足枷があるのも忘れて、自慢の羽を大きく広げて羽ばたいていた。
どこまでも、どこまでも、飛んで行けそうなうずうずした好奇心が、いつだって俺の心で渦巻いていたのだ。
そんなある日、俺は烏に羽を食われて地面に堕ちた。
あんなに近くにあったはずの空は、今はどこまでも遠い。食われ、汚れた身体を抱きよせながら、俺は泣いた。
今、思えば自由なんてどこにもなかったのかもしれない。俺が飛んでいた空はあまりにもちっぽけな範囲で、いつだって烏は、俺を狙っていた。足枷を付けていた…。
共に羽ばたいた仲間たちは俺を助けようとしてくれた。
だけど、烏が追い払った。
傷つきながらも、俺の元へ来ようとする彼らに俺は叫んだ。
もうやめてくれッ!!これ以上、血を見たくない!
俺の必死の言葉を、彼らはただ悲しそうな笑顔で聞くだけだった。
そして、変わり果てた彼らを手に慟哭を繰り返した…。
真っ赤に染まった羽は、もう二度と元には戻らない。
海のようにキラキラ輝いていた空。だけど、虚ろな俺の目に写るのは、暗黒に染まった、暗い闇の空だけだった…。
【暗黒に沈む空】
――――――
「空」と聞いて、ぴんと来たのが「鳥」。
全面的比喩で話を進めましたが、やっぱり難しいッ