Dear Lover

□第二夜
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あのあとどうなったのかは覚えてない。
気付くと私は自分のベッドにいた。

起きたのは朝10時。
こんな時間に目覚めたのはいつぶりだろう?

この屋敷に来てから、
たくさん嫌なことも、

楽しい、
嬉しいことも......


ーーもう、どんな顔をして
会えばいいかわからない。



「レイジさん...」



ーーこんなことになるなら
余計なこと考えずにいれば
レイジさんに吸ってもらえたのに。


昨日の出来事を思い出して
勢いよくベッドから立ち上がる。

案の定、ふらふらとへたりこんでしまったが
ゆっくり時間をかけて、
自分の机に置いてある鏡で
噛みつかれたあとを確認した。



「夢、じゃない。」



噛まれた感覚も、この貧血も
体では自覚してるのに
噛み痕を見るまで信じられなかった。

信じたくなかった。


震える指先でシュウさんの噛み痕に触る


「...っ!」


まだ真新しいため痛みもある。

アヤトくんの噛み痕も、同じだ。


ーーお風呂に、入ろう。
...っ!
でも...前にシャワーの音で...って...


レイジさんに知られたくない
レイジさんに知られたくない
レイジさんに知られたくない

レイジさんに、まだ必要とされていたい。




涙が止まらない。





鏡に写る私の首筋には
隠しようのない証拠が二つ。
アヤトくんのは肩と首の間。
シュウさんのはのどに近いところ。


季節は冬だ。
タートルネックの服を着れば...
今からなら服だって揃えられる。

それに吸血鬼の鼻だって、
香水を振りまけば少しは誤魔化されるかもしれない。
銭湯だって少し探せば絶対見つかる。



大丈夫、この怪我が治るまで。

私はこの事実を絶対に
絶対に隠し通せる!



心に強い決意をし、
私は屋敷を離れた。
窓から誰が見てるかも知らずに。


  
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