Dear Lover
□第六夜
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スバルくんと逃げたあの日から二週間ちかくがたった。
あの日から私はずっと自室に立て籠っていた。
とはいっても
いくら鍵を閉めようともこの屋敷の住人はやってくる。
私の匂いに釣られるように。
激しい抵抗も空しく、
最後には血を吸われる。
ーー私の助けを呼ぶ声は、
聞こえていないのかな。
届かないのかな。
血を吸われる度に
彼の牙の感触を思い出しては
淡い期待を胸に浮かべた。
兄弟たちが上書きするように身体中に触れて
彼の痕は確実に消えていくのに
彼の匂いも、
声も鮮明なまま消えてくれない。
かわるがわるやってくる兄弟たちの唇を
首筋に感じると同時に涙が頬を伝った。