短編集

□不幸中の幸い
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アルカナファミリアの頂点とも言える
パーパが下した突然の決定。

アルカナデュエロで勝利した幹部と
パーパの娘でもある若い女幹部とを結婚させる…


はじめ聴いた時は
なんて大胆で馬鹿げた話かと思った。


俺は元々海賊出のもんだ。

女も酒もほしけりゃ奪う。
いらなきゃ捨てる。


だが今はアルカナ・ファミリアの一員として
パーパの言葉は絶対。



そんなこと今更思い返さなくったって知ってる。
知ってるはずだ……。





「俺は少し、操舵士と話してくる。
ニーノ、お嬢さんを頼むぞ。」


ある春の日。
舞台は海を走る俺たち諜報部の船。

先日知り合ったばかりのお嬢さんに
こっちの都合で仕事を手伝ってもらうことになった。



天気も快晴。
文句なしに気分が乗ってる時に
突然お嬢さんの相手をすることになった。

しかも二人っきりで、だ。



「いや〜こりゃ役得だな!」


オルソと違って俺は女にゃ慣れてる。

そりゃあ不幸を呼ぶ男だから
一日と続かないことばっかりだが

憎くもそのおかげで
瞬時に女を笑顔にさせる腕は自慢できるとも思ってる。


「お嬢さん!ほら、見てみろよ!
あそこに小さく見える壁……
あれ、おれらの館だぜ?」



指を軽く指して言ってみると
きょとんとした顔で俺の指の先を見る。

プロポーションの整った身体に比べ
少し幼さを残す顔。


大きな緑の瞳は未だに俺の指すものを
捉えられていないようで
目を少しずつ凝らしていく。



   
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