Dear Lover

□第二夜
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起きた時間がちょうどよかったからか、
町はいつも以上に活気に溢れて見える。


ーー当然かな?
人間は普通昼に活動するものだし。



久々の太陽が少し眩しくて影を歩く。
こんなに日差しって強いものだったのか。
レイジさん達が嫌がるのも無理ないな。

吸血鬼の近くに居すぎたせいか
思考まで吸血鬼に
近くなってるのかもしれない。
それが少し嬉しいなんて、
屋敷に来た当時は思いもつかなかったな。




「いらっしゃいませ」



店の中の騒がしい声。
照明も窓から差す日光も、
久々すぎて目眩がしそうだった。


買い物の目的はあくまで
傷を隠す服である。

つまり買い物中はまだ
傷が隠せていないわけだ。
それに回りは人間だらけ。
視線が不自然に集まるのを感じながら
急いで服を選ぶ。


これから傷が癒えるまで
毎日タートルネック...となると不自然だ。
首に巻くストールなんかも買った。



ーーこんなもので誤魔化せるのかな。

胸が苦しくて
まるで泥棒してきたような心境で
買い物袋を見つめた。



「よし!次は銭湯ね。」



ーーいけないいけない。
弱気になってちゃ絶対にバレちゃう。


そうして銭湯を探し歩く。
携帯がないため調べることができず
なかなか見つからないために
町中を歩く人に何度も尋ねてたどり着き、
なんとか済ませることもできた。




「気持ちよかったかなあ!」


最後は香水。

吸血鬼の鼻がどういうかぎ分けを
しているのかはわからない。
でも、
以前町の裏通りで襲われかけた時には

『風呂に入って匂いを落とせ』
みたいなことを言われた記憶がある。


なら、
お風呂に入って、
香水までつければ
バレることなんてないだろう。

あとは傷さえ隠し通せれば
もう何も証拠は残らない。


    
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