大乱闘スマッシュブラザーズ〜光と夢の戦士たち〜

□第二話 スマデラ屋敷
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「緊急ってなにかしらね。」
「もしかして道場破りかしら?」
「あっ先輩!今日卵が割り引きみたいですよ!」
「なあ、ミュウツー、吾輩の入浴剤見なかったか?」
『知らぬ……。フォックスに聞け…。』
「あっ!しまった小松菜買いに行くの忘れてた!!」
「……」
「…!……」「……?…」
「…」「……」

それぞれ思い思いにしゃべりながらロビーに集まるスマブラメンバー達。

その姿をみて、ユウキとヨナは唖然とした。

誰もかれもきっちりとした容姿に絢爛豪華な服。だけどちっとも嫌味に見えない。



まるで絵本の世界。







…ジャンルはバラバラだが。



確かに、人間に見えない生物や、恐ろしい形相の生き物もいるし、まるで愛玩動物のような生き物も言葉をしゃべっている。
 人間も、服装に統一性がないし、体のつくりも微妙に違う。明らかに異なる文化の集まりだということがすぐにわかる。

だから、ユウキは確信する。

「(この人たち、お互いを信頼し合ってるんだ。じゃなきゃ、こんなに人種も種別も姿かたちも違う中であんな風に笑えないもん。………現実もこんなんだったらな……)」


 見慣れない人間の姿に驚いていたのはユウキだけではなかった。
ロビーに、見慣れない女の子と男の子が座っていることを知って、スマブラメンバーは驚きの声を上げる。そしてにこやかに笑いながら、二人に会釈をして、テーブルに座った。
 中には、「こんにちは」と挨拶をくれた人もいる。 
 親しげな雰囲気はあるが、ユウキとヨナに話しかけてくる者はいない。

ヨナが緊張していると、隣に座っていた子リンがそっと喋りかけた。
「緊張しなくていいよ。大人たち、今質問攻めにするときりがないってことがわかってんだ。メンバーが増えるのは初めてのことじゃないしね。今、さっき放送で話していたマリオって人が来るから緊張しないで待っててよ。な、カービィ。」
「ペポ。それよりおなかが減ったペポ〜。今日のおやつは何かなペポ。」
「お前はいつもそればっかだな〜。」

子リンが呆れていると、ロビーの奥の扉が開いた。
スマブラメンバーはおしゃべりを止める。
扉の奥から出てきたのは、赤い帽子をかぶり、ひげを生やした男性だった。

「(あの人がマリオって人かな。)」

「あ〜、みんな集まってくれて悪いな。ま、要件はわかってるだろ。」

そう言って髭の男性はユウキとヨナの方を向く。
ユウキは、席から立ち上がった。それを見て、ヨナも立つ。

「君たちが、ユウキとヨナ、だな?」
「はい。あたしがユウキ。この子がヨナ。あたしたち、あの、皆さんに助けて欲しくて、ここに来たんです。」

ほう、とマリオが頷く。そして優しく尋ねた。
「具体的には?何に困ってるんだい?」
ユウキが答える。
「あたしたち、気がついたらこの…世界?に、いたんです。魚屋さんのひかりって人に聞いたんですけど、此処ってあたしたちがいた世界と
違うらしくて…元の世界に帰る方法をしりたいんです。あたしたちがいた世界、現実世界って言うらしいんですけど…。」

現実世界、という単語が出た瞬間ロビーにざわめきが走った。

マリオは顎をいじりながら怪訝そうな顔をする。
「フーム。現実世界ねぇ。…なるほど。それでか。」
「…えっと……。」
「いいかい。結論から言う。君たちを今すぐ現実世界に送ってあげるのは無理だ。」

「そ、そんなぁ…。」
ヨナが、今にも泣き出しそうになる。

「そこでだ。あんたたち二人、帰る手段が見つかるまで、スマッシュブラザーズにならないか?
いい暇つぶしになると思うし、行くとこないんだろ?」

ユウキとヨナは顔を見合わせる。
「スマッシュブラザーズ?」



続く
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