単発小説館
□ミネアの初恋
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水晶がきらめく。世界を救う強いひかり。そのまわりに輝く七つの光。
私は占い師ミネア。七つの光のひとつ。そして…私の目の前で神に祈りを捧げるかれも。
それに気付いたのはいつのことだろう。真面目でおとなしいと思っていたかれだけど、とっても表情豊かで、その薄墨色の瞳が…そう。あの女性(ひと)に会うたびにキラキラと輝くのを。
…そして、あの女性がいないところでかれは、とても悩ましげな顔をしていることを。
…見ていると、とっても面白いのだけど…な、なにをいってるのかしら、私。人の悩み事を聞く身でありながら…。
そう。今も私の目の前でかれはとても寂しげなまなざしで祈りを捧げている。…まるでこの世の不幸を背負っているよう。
かれはやさしいから。そして、責任感が強い。神に身を捧げた身分だから。だから、あなたはそんなにもいつも悲しい瞳をしているのね。
…それは彼女だけが知らないかれの心。かれも、彼女には見せないかれの気持ち。
…私は占い師。人の悩みを聞き未来を見る。そして人に真実を伝える。それは決してたやすいことではない。占いとはその人の生き方をきめるもの。伝え過ぎず少なすぎず。等価交換の理念は占いでも反映されるから。…私は……どうしたいんだろう…。
彼の声を聞くたび、かれの笑顔を見るたび、私はとても安心する。もっとかれに笑って欲しい。
どうして…かれだけにそう思うのだろう。勇者様やライアンさん、ブライさん、トルネコさんや姉さんを見ていても、ここまで胸は熱くならない。
…もしかして…私…。彼のことが…。