Presentnovel
□記念撮影
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付き合い初めて半年。
オレは今、恋人であるティキの家に来ている。
ティキはさっきっから黙々と自分のカメラの手入れ中。
‘手入れをしているだけ’の仕種や
‘カメラを真剣に見つめる表情’もカッコイイと感じてしまうオレはかなりの所までティキに惚れている。しょうもない事で不安になってしまうし…。
ティキがカメラの手入れをしている理由は、来週に行われるオレの高校の卒業式でオレの晴れ姿を撮るんだと。
でもよ、何で父親でもなければ兄弟でもない恋人が卒業式に参列するのか意味不明じゃねぇか?
うちの高校の卒業生ならまだしも、ティキはうちの卒業生じゃねぇんだし…変だよな。
その事を言おうと思ってたんだけどここまで熱心にされると言いにくい…。
おまけに『楽しみだな』何て言われたら余計に言えなくなる。
(どうしたもんかなぁ…。)
オレは内心でハァ〜っとため息をつくとふと目に着いた棚の上の写真を見た。
棚の上に飾られている写真は全てティキが撮影した物で、風景だったり、大学の同期だったりと様々な場面がおさめられている。
(本当、写真撮るの上手いよなぁ、写真なんて同じ場所で撮れば誰も同じだと思ってたけど、違うんだなぁ)
「ん?これは…なぁ、ティキ!」