Shortnovel
□キンモクセイ
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そんなオレの祈りが通じたのかその週には雨が降らず、匂いの正体は元気そうだ。
これは、オレの日頃の行いがいいからかな?
そう考えながらオレは窓の近くで読書をし、今週も遊びに来たオレの愛しい恋人はオレの傍で毛布に包(くる)まりながら寝っ転がっている。
「ティキ〜寒いから窓閉めようぜ…」
「だーめ、空気の入れ換えしてるんだから」
「空気の入れ換えって、もう二時間もしてるんだからいいだろうが!」
そう、ユウにもこの匂いを嗅がせようと窓を開けてからはや二時間。
いっこうに風がふかない。
いや、風はふいたな
北側から。
でも、オレが求めている風は南側からの風であり北側の風はお呼びでない…。