Shortnovel
□キンモクセイ
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(あぁ、神様。
オレの日頃の行いが良いから雨を降らせて下さらなかったことに関してはとても有り難く思います。
しかしどうか、どうかオレにもう少しの慈悲を与えてやって下さい。
どうか、南側から風をふかせて下さい…。)
柄にも無くオレは心の中でさっきから神に祈りを捧げているのだが…。
神は願いを聞き届けては下さらない…。
「ハァ…」
「どうした?ティキ」
オレの溜め息に毛布に包まっているユウは顔を向けた。
「いや、神様はいじわるだなぁ〜って思ってさ」
「ハァ?意味わかんねぇ…クシュンッ!!」
突然出たユウのくしゃみ。
「……………寒い」
毛布にさらに包まりながらボソッと出たユウの言葉。
(さすがにこれ以上はユウが風邪をひくからダメだな。)
オレは計画を断念して窓を閉める為に立ちあがると
“ヒュー”
突然ふいた優しい秋風。
そして感じる微かな匂い。