Shortnovel
□Letters(前編)
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「ユウ、一つ聞いていぃ?」
蕎麦屋を出て向かっている場所は
『ティキが行きたい所』
「何だ?」
「何であの店で働いてるの?」
「……………」
「ごめん。言いたく無いならいいよ」
「いや。大丈夫だ…何でも聞いてくれ」
「…じゃぁ、家族は?」
「事故で死んだ。その後引きとってくれた親戚とは上手くいかなくて、それと同じ位上手くいかなかった高校を辞める時に縁を切った」
「そっか…。他に仕事無かったの?」
「他にもやったけど、食って行けなかった…。
それで偶然見つけたらこの仕事をやってる…」
「辛くない?…」
「……もう慣れたし、仕方ないだろ?
オレみたいな何も出来ない奴にはこれしか無いんだから」
(そう、何も無い。
オレみないな能無しにはこんな事しか出来ないんだ…。)
「そんな事ないよ…」
「え?」
ティキの言葉にオレは顔を上げた。