首2
□正×帝
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「―なんであの人のとこ、行ったんだよ」
なにもかわらない現実なんて、僕は求めていなかった…。
非日常を僕は求めていた。
正臣には絶対に関わってはいけないと言われていた人、“折原臨也”さんに僕は『正臣君の過去を知りたいんでしなら、俺のマンションまで来てくれたら教えてあげるよ。』と電話で誘われ、僕は『行きます…。』と了解した。
僕はただ、正臣の過去を知りたかったそれだけ…。
その好奇心だけで僕は、臨也さんがいるマンションへと足を進めた。
それがいけなかったんだ…。
後悔なんてものは何故、事が起こってから後になってなるのだろう。
「…帝人…なにか言えよ」
僕は正臣に何も言えずただ、その場に立ちすくむことしかできなかった。
『なに笑ってるんですか?いざや…さん』
気づいた時には遅かった。
というよりか、わかりきっていた事だったのかもしれない…。
この人は人間が好き、好きすぎて男の僕にまで手を出すんじゃないかと考えていた。
『んー?君の飲んだコーヒーにちょっと細工をしたんだよ。』
嗚呼…やっぱり。
僕は今からこの人に抱かれるんだと思った。
その矢先に、マンションのドアが勢いよく開かれ僕はソファーから立ち上がり開いた人間を見て一瞬、僕は安心したんだと思う。
それからは一気に力が抜け、僕はコーヒーの細工がなんなのかなんて、ことを忘れていた。
『早かったね。紀田正臣君』
『臨也さん…アンタが帝人を呼び出したんですか?』
『呼び出したのは俺だけど、自分の意思でここまで来たのは帝人君自身だよ』
『……っ…帝人、帰るぞ。』
『…あっ、正臣…』
僕は正臣に手を捕まれ強引に臨也さんのマンションを後にし、池袋の駅に着くなり正臣はずっと握ってた手をやっと離してくれた。
右手には赤い筋ができていていままで、正臣は力を込めて握っていたことが物語ってい
た。
『…正臣……っ』
『…帝人―俺言ったよな?“折原臨也には近付くな”って』
僕は何もいわずこくりと頷いた。
そしたら正臣は顔がかわり『ならどうして行ったんだよ!』と僕の両肩を掴んで問いてきた僕は正臣の目を見ずに、顔を横にし黙り込んだ。
『…お願いだから、…なんか言ってくれよ……帝人…。』
『………』
正臣が好きだから、正臣のことを大切に思ってるから、僕は臨也さんの言葉に乗り正臣の過去を知るためだったら僕は、身体を売ってだって聞くよ。
それが僕の正臣に対する歪んだ愛だから。