・OTHERS・
□SWEET HOME
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大竹は困り果てていた。
目の前には散乱したおもちゃ。
そして大竹の腕の中には、この世の終わりが訪れたかのような悲しげな大声で泣きじゃくる赤ちゃんが‥‥。
しかし、この世の終わりを痛感しているのはむしろ大竹の方だった。
──もう、どうしていいのか分からない──
それが今の大竹だった。
そもそも独身である大竹が赤ちゃんの扱い方など知るはずもなく、一体どうすれば泣き止んでくれるのかなど、分かるはずもない。
額から汗が流れ落ちた。
ずっと赤ちゃんを抱いている腕も、そろそろ限界を迎えようとしている。
──三村なら‥‥?
一瞬頭をよぎった名前を、しかし大竹は強引に振り払った。
知り合いの赤ちゃんを急遽預かる羽目になって、まだ一時間も経っていない。今、三村に助けを求める事は絶対にしたくなかった。それは相方としての三村に負けるような気がして、どうしても嫌だったのだ。三村とは、いつもちゃんと対等な位置でいたいという、譲ることの出来ない思いがあったからだった。
──しかし、本当にもうお手上げだ。三村がダメだとすると‥‥‥。