アベミ以外カップリング

□真面目な彼氏×天然な彼氏。
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「でさ、その先輩ってのがマジゴリラそっくりなの!もーマッチョなゴリラが制服きて学校来てるってかんじ!?一回見てみろよあれはマジウケるって」
「マジかよそれ」
「へーいいな。じゃあそれ水谷提案の話にして皆で見に行くか」
「ちょっ泉!」

アハハハハハ!!









「…あ、三橋ちょっと待て」
「う、ぇ?」
三橋は花井ひ呼び止められその場で動きを止める。花井は三橋の真正面に立ち、三橋の顔に両手をそえた。三橋の目が大きく開かれる。
「は、は、花井君っ…!」
「動くな、まつげに砂ついてっから。入ると痛てぇぞ」
「………!」
真剣な眼差しで花井は三橋のまつげの砂を取る。風に巻き上げられたのだろう、けっこう大きな砂粒だった。
(三橋のまつげ長ぇからよくひっかかんだよなぁ)
「っと、取れたぞ…って、三橋?」
「〜〜〜〜!」

気が付くと。三橋はギュッと両目をつむってて、両手で自分の服をくっしゃくしゃに掴んでる。…つま先立、あ。俺背高いから、気遣ったのか、顔赤いもんな…。
「わり、サンキュ。ゴミとれたから」
「っ………ぅ、あ、え…?」
「………いや、だからゴミ。まつげついてたから取った」
「………あ、…ゴミ…?」
「おお」
「…………」

………ん?何だその顔。 え、顔赤いけど、三橋。お前何だと思ったんだよ。


「……あ、のね、……今…俺……」
「………?」
「……き、す……するかと、思……花井君、と」
「っば!!」
お、お、お、思うかバカ!!!こんな道の真ん中で堂々とキスなんかするかっバカ!!!!大体今野球部全員と帰、ぁ。

「………………」

きしむ首を横に向けると、野球部員全員。つまらなさそうに俺を睨んでいた。
…………あ、胃が(泣)
「なんつーか、解りきってた事だけどよー…」
「花井ってムッツリだよな、自覚なく」
「何で三橋は花井なんかに惚れたんだぁー!!俺も三橋好きだったのにぃー!!」
「田島、落ち着け。そのうち花井が愛想つかされっから、その時だ」
「ちょ、阿部」
「そいえば三橋、花井とはどこまでいったの?」
「う、ぇえ?」
「てめぇ水谷!!何聞いてやがんだクソレ!!」
「ぅわ花井がキレた!」
「で、三橋どこまでやったんだ?」
「そーだそーだ、どこまで花井に奪われたんだ!?ゲンミツに言えよ!」
「泉っ田島ぁ!!」
「っ………!!!」







………グス。







「あ。泣いた」
「えぇえ!?何やってんだよお前ら!!」







真面目な彼氏×天然な彼氏。









「はな、はな花井、君っ!」
「おーどうした三橋」
朝練が終わった後の休み時間。部室の鍵を閉めて俺はみんなより後に教室へ向かう。教室の廊下、階段を上がってすぐ、三橋が声をかけてきた。何だ三橋、お前田島と泉と先に行ってたんじゃねぇのかよ。
「ぁの、あの、あ、今日っね」
「おぅ、あ、歩きながら話聞くから…三橋?」
「え、あ、…ぅ、ん…」
とにかく、昨日に出された宿題が気になって俺は教室に急いだ。振り返って三橋を見ると、俯いて少し唇を尖らせてたけど。…あれ?今俺、悪い事言ったっけ?

ガラ。
「あれ〜三橋じゃん!朝から7組なんてめっずらし〜」
「う、水谷、く…阿部く」
教室に入ってさっそく水谷が絡んでくる。うぜぇ。
「で、何だよ話って」
ガタ。俺は自分の席に座って鞄をあさる。あーと、確か英文の宿題ここらへんに…あ、あった。
「ぅ…ぁの、花井、く」
「んー?」
弱々しく三橋が俺を呼ぶ。…ええと…この単語の意味何だったっけ…

「あの、ぁの…ふ、二人で、あの、話さな、い?ちょっと、廊下、出て…」
「えー三橋何!?何か悩み事!?」
水谷のでけぇ声が響く。うぜぇ。朝からそのテンションは異常だぞお前…。あ、そうだ"許してくれ"だ。この単語。

「ぇ、ちが…」
「何かあんなら俺達も相談のるからさぁー言ってよ!花井よりも頼りになるぜぃ、なっ阿部!」
「………」
何が俺より頼りになる、だよ。ならいっそ野球部のキャプテンやってみろって。……あ、この文は昨日やったな、ええと…

「……三橋」
「ぅ」
「話せ」
「………」
阿部は朝、声低いなぁ。三橋ビビってるし。…はぁ、やっと終わった。

「で、何だよ話って。こいつらの前じゃ言えねぇ話か?」
「う、ぇえ…!?」
パサ。宿題を終わらせて、俺は三橋と向き直る。三橋は困った様にあたりをグルグル見回して、…一つため息を吐いた。

「…今日、夜……家、誰も…いなく、て……」
「へー、おばさんは」
「大学っ…明日も朝から、早いからもぅ、泊まるって…大学、に」
「親父さんは?」
「…しゅ、しゅ、出張…」
「そーか…それで?」
「っ…それで、って…」
「…え?」




「あ、じゃあさ!!みんなで泊まり行ってもいい!?明日って朝練ないし学校休みじゃん!?三橋の家広いから一回みんなでお泊り会したかったんだよね〜、俺お菓子持ってくよ!!阿部も行くだろ、な!?」
「…おー」
…水谷。どうしてお前はいつもそう勝手に
「三橋っみんな誘って行ってもいい?人数多いほうが楽しいし、ほら!合宿みたいじゃん!ぜってぇ楽しいって、な?」
「………うん……」
………あれ?
三橋…乗り気じゃねぇのか?

「やったー決まりー!じゃあさっそくみんなに聞いて来るねー三橋、ちょっと待ってろよ!」
「……………」
………まぁ、いいのか、な。三橋がいいって言ってんだし。確かに、俺と二人きりよりも、みんな誘って泊まった方が楽しいだろうし。
…ただ、さっき。俺が、それで?と聞き直した時。


「っ…それで、って…」


…何か怒ったような顔、しなかったか?三橋。
「…………」


「三橋、今日昼休みこっち来い。次の試合の打ち合わせしたい」
「ぁ、わかった…」

………気のせい、か。三橋、阿部と普通に喋ってるし。さぁて次は数学の宿題だ。三橋と付き合ってから、阿部見せてくんなくなったんだよなぁ…ちっ。


「…………」

三橋の視線が俺に向けられているとは知らずに俺は数学の宿題に集中する。
…まさかこれが後々騒動を巻き起こすなんて。現時点で、俺はまだ予測出来なかった。
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