Book2

□HELLO、Mr.Both sides!
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初対面は三橋だった。

野球部の帰り、駐輪場で疲れきっていた俺と目が合った。
薄い色素の跳ねた髪。赤い夕日の光の逆光の中に三橋は立っていた。
俺は痛いほどの視線を注がれ、不意にも声をかけてしまったのだ。

「…何?何か用かよ」
ガチャンと自転車を出す音に紛れ三橋の言った言葉。


「野球って面白い?」

「………は?」

「お前阿部って言ったよね」

…………お前よばわり。って先輩かよ。でも俺より体小さくねぇ?

「……お前誰だよ」
イラリ。イラリイラリ。疲れきってる時は精神も敏感になってくる。言葉に刺が立つ。
そいつはわずかに目を細めて踵をかえして走り出した。


野球やってる奴ってキモいけど、お前は特にそうだなぁ!!




赤い空に透かされた髪が上下に揺れて去る。
吐かれた言葉に一瞬意味が理解出来ず、怒りもせずただ黙ってその背中を見ていた。
その様が少しキレイだなと思ったのは帰り道、家路に急ぐ最中にだった。
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