けいおん

□触れられないものばかり欲しがった
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触れられないもの
ばかり欲しがった









全く面白みのない私の人生。
それは、定期的に訪れる虚無感と同じ作用を持っているから困ったもんだ。時々そんな蟠りのような固体が私の心も身体も蝕んで、蝕んだだけ満足したようにパッとどっか消えていくから迷惑極まりない。そうやって繰り返していく日常にただ飽き飽きしていた。人生は漠然としていて、正直どうでもいい。だから余計ムカついたんだろう。

「馬鹿みたい」

太陽が照らす、なのにシビアだ。そこだけ明るくなったかのような錯覚さえ起こる。一瞬見ただけでもう麻薬のようにやみつきになるようなそんな感覚だ。

「馬鹿みたい…」

なんせ何時も楽しそうで、凛として可憐で、でも何処か哀愁漂わすその雰囲気に不覚にも見とれた。まるで家鴨が生まれて始めて見るものに付いていくような、始めて光りを見た時のような…。

笑いたい時は笑い、笑いたくない時は笑わない。そんな単純で簡単なことを私は忘れてた。そして今知った君はそれをごく当たり前のように熟している。なんて不思議なんだろうか。

逃げたかった、その場から。見つめたかった、君を。そんな矛盾が交差して最終的に空を見た。

「あぁー青い」

君は私を知らない。私は君を今知った、存在を。





交わる時はないって思ってた。



―― 君もそう思うでしょ?








 2010.0620:触れられないものばかり欲しがった










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