けいおん

□欲情に手錠を
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ちゅう、と律先輩の首元噛み付けば、赤い跡がくっきり。満足して笑うと、律先輩は少し不機嫌そうな表情を浮かべ、すぐに困ったように苦笑した。

「…ったく、梓。毎日お前のせいで大変なんだぞ」

「でも律先輩、結果的に倍にやり返してくるから私も大変なんですけど」


そう返せば、律先輩は満面の笑みでアハハと笑った。その表情がたまらなく好きだ。出来るものなら私だけのものにしたい。恋人という肩書きがあったってその思いは日に日に募るばかり。私だけの中で律先輩を閉じ込めたいなんて死んでも言えないけど。それは叶わないからせめて私は律先輩に後を残す。

「既に絆創膏とか意味ないと思うのは私だけ?」
「じゃあ、私次の日絆創膏付けないで学校行きます」

なんてふざけて言えば、律先輩は眉間に皺を寄せて

「他の人が欲情したらどうすんだー!」

普段から他の人の視界に梓が入っているって考えるだけでむかつく。なんて言うもんだから頬が緩んでしかたない。

「それ、逆も同じですよ?」

私だって、他の人の視界に律先輩がいることなんて堪えられない。そう思うだけで嫉妬する。堪えられない感情を無理矢理堪えて、それを押し付けるように律先輩に跡を残してるんだから。まだ、つけ足りない。と耳元で一際甘い低い呟きに感じながらまた、




欲情に手錠を








「「私だけの」」

独占欲のしるしを






20100624







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